2018年2月14日水曜日

埼玉県某市で経営を営む小規模塗装店(従業員7名、その内職人は4人)は、地 元密着型企業として2017年に創業40年を迎えました。 この塗装会社は創業当初に掲げた経営理念である「自社職人による施工と手塗 り(3度塗り)」を徹底的に貫いた施工を継続しています。職人を含めた従業 員には、この理念を教育し、一切、手を抜かない仕事を行っています。この方 法・考え方が現在の口コミ、紹介、リピーターにつながっています。 しかし、ここまで来るにはとてつもない苦労がありました。社長は職人であり 営業担当者。社長は中学卒業後に、この世界に入り職人として修行し会社を立 ち上げました。創業は、自ら手作りのチラシを作成しポスティング。ポスティ ングの際に地元の住民の方に出会うと、いつも笑顔で挨拶をしていました。街 で日々、社長の姿を見ていた地域の住民から、長い年月を掛けて徐々に相談を 持ちかけられ受注に繋がり今日に至っています。 当初から職人に理念を教え込むことは簡単ではありません。理念を教えても、 現場では分からないように手抜きをする職人が多くいました。そのため、社長 は自ら現場を管理し、職人に対し直接指導を行っていました。当然、ケンカや 考え方が合わないため辞める職人も多く、社長が自ら手直しをするケースは少 なくありませんでした。職人不足で受注しても施工がスムーズにできない時期 がありました。この時期は、お客様に対し“3ヶ月、4ヶ月待ちになってしまう” と話し、いかにも繁盛店であるかのように工夫をしていました。この間は限ら れた自社職人で、ぎりぎりの環境で施工を実施していましたが、社長のこだわ りに共感した職人のみが残り、丁寧な仕事を徹底的に行っていました。ただ丁 寧だけではなく、早く丁寧な施工を心掛けていました。 この塗装会社のこだわりは、 ①自社職人を雇うこと。  ②手塗り(3度塗り)をすること。 手塗り、しかも3度塗り(下・中・上塗り)は時間もかかり、職人にとってと ても嫌な仕事です。当時から他の塗装会社の多くは殆どが外注でした。営業し て施工は外注依頼。外注先はいい加減な仕事、雑な仕事、すぐ辞めるなど様々 な課題があり、お客様のクレームが山のようにあったことで、全て自社職人に 切り替え、いき届いた教育、管理、サービスの提供を実現しています。 現在、昔からずっと働いている職人も高齢化となり、若手の採用と育成が求め られています。こうした中、地元の大学からの新卒を2名採用し、ベテランの 職人が手とり足取り指導しています。一緒に現場(2名一組)で働き、足場の 組む位置、高圧洗浄の仕方、ケレン、塗装の仕方、塗料の品質や特性、屋根・ 壁、樋などの素材など多くの事を現場を通じて学んでいます。 社長の年齢は現在60代後半、後継者にも悩んでいますが現役続行を決意し、 「自社職人による施工と手塗り」にこだわりを持って経営に取り組んでいます。 現在、会社にはポスティング部隊がおり、計画的に配布をしています。ポステ ィング部隊は、一般企業を定年退職をした5名の地元の方が、各エリアを分担 し1ヶ月でチラシを配布してもらうものです。基本は一人当たり月間20,000枚 を歩いてポスティングをするため、健康によいアルバイトとして協力を得、楽 しみながら仕事をしていただいています。健康な地元の方を採用し、口コミ、 紹介につながっている人気塗装店として今も頑張っています。                      (文責:事務局 高橋 幸雄)